心経しんぎょう)” の例文
旧字:心經
組み伏せて『大般若だいはんにゃ』を繰り、『心経しんぎょう』を読み、大勢集まりて一心に祈りければ、山々の天狗名乗りつつ退く。
迷信解 (新字新仮名) / 井上円了(著)
今夜夜通しに後始末あとしまつをしてからのことに決めて、皆がそんなことに奔走している時、源氏は心経しんぎょうを唱えながら、静かに考えてみるとあわただしい一日であった。
源氏物語:13 明石 (新字新仮名) / 紫式部(著)
本殿の奥の厨子ずしの中には、大日如来だいにちにょらいの仏像でも安置してあると見えて、参籠者はかわるがわる行ってその前にひざまずいたり、珠数をつまぐる音をさせたりした。御簾みすのかげでは心経しんぎょうも読まれた。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
此の観音様のお堂には留守居がないからお比丘さん這入って居ないかと村の衆に頼まれるから、仮名附のお経を買って心経しんぎょうから始め、どうやら斯うやら今では観音経ぐらいは読めるように成ったが
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)