心立こころだて)” の例文
「いいや、そうで無いよ。お前の様な美顔きりょうで、心立こころだての好い者は、どのくらい武家の方で満足に思うか分らない」
悪因縁の怨 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
胸間常の人より長く、腰しまりて肉置ししおきたくましからず、尻はゆたかに、物ごし衣装つきよく、姿の位そなはり、心立こころだておとなしく、女に定まりし芸すぐれてよろずいやしからず
明治美人伝 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
去歳さるとしわが病伏やみふしける折日々にちにち看護にきたりしより追々に言葉もかけ給ふやうになりてひそかにその立居たちい振舞を見たまひけるが、癇癖かんぺき強く我儘なるわれにつかへて何事も意にさからはぬ心立こころだての殊勝なるに加へて
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)