微見ほのみ)” の例文
路は暫し松林しようりんの間を穿うがちて、茅屋ばうおく村舍の上になびける細き烟のさながらの如くなるを微見ほのみつゝ、次第に翠嵐すゐらん深き處へとのぼり行きしが
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
余に希望のひかり微見ほのみえしにあらず、余は刻一刻死の場所に近づきつつあるなり、船は瞬間も休まず地球の果に向って走りつつあるなり、ああこの船の行着く先はいずくぞ
南極の怪事 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
宮は打笑うちゑみつ。されども例の可羞はづかしとにはあらで傍痛かたはらいたき余を微見ほのみせしやうなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)