御符おふだ)” の例文
劉は太守の前にある筆やすずりを借りて、なにかの御符おふだをかいた。そうして、机を一つ叩くと、忽ちそこへ五、六人の鬼があらわれた。
其容子を見て居た人は、デカを可愛がる人であったので、デカを連れ込んで、水天宮すいてんぐう御符おふだなど飲ましたが、駄目であった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
やしろまわりでは産小屋うぶごやを別に立てて、引籠ひきこもる。それまではなくても、浦浜一体にその荒神を恐れました。また霊験のあらたかさ。可心は、黒島でうけた御符おふだを、道中安全、と頭陀袋ずだぶくろにさしていた。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お前はこれから手をまわして、この近所で池鯉鮒ちりゅう様の御符おふだ売りの泊っているところを探してくれ。馬喰町ばくろちょうじゃああるめえ。万年町辺だろうと思うが、まあ急いで見つけて来てくれ。
半七捕物帳:05 お化け師匠 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)