御法ごほう)” の例文
源「恐入ります、しかし手前は町人の事にてなんわきまえもございませぬが、何の罪もない者に重罪を申付くるという御法ごほうがございましょうか」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
御法ごほうによって男女ふたりとも、生きながらのさらし者となり、ふぐったむくいとはいえ、浮名うきなというには、あまりにもひどい人の目や指にとり巻かれている。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「もう問答は無用だ。この十手は、壁辰という左官屋の手にあるんじゃアねえ。お上の御法ごほうだ。神妙にしろッ!」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「うむ、一党残らず死ぬ覚悟で乗りこむのだ。たといその場で討死せいでも、天下の御法ごほうそむいて高家へ斬りこむ以上、しょせん生きてはかえられぬ。だがな」
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
「こうなっては仕方がない。幸之助、尋常に曳かれて行って、御法ごほうの通りになれ」
半七捕物帳:69 白蝶怪 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
新「へえ粗忽そこつの浪士萩原新三郎と申します、白翁堂の書面の通り、なんの因果か死霊に悩まされ難渋なんじゅうを致しますが、貴僧の御法ごほうもって死霊を退散するようにお願い申します」