御札おふだ)” の例文
神様の名のある御札おふだを踏んだら如何どうだろうとおもって、人の見ぬ処で御札を踏んで見た所が何ともない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
宝がないから仏の力をもって金を貸してくれろと云った所が、釋迦しゃかがそれは誠に心懸こゝろがけとうとい事じゃと云って貸したのがすなわちこのお経じゃ、又御札おふだをやるから方々ほう/″\って置いて
おなじ裏長屋でもお津賀の家は小綺麗に住まっているらしく、軒には亀戸かめいど雷除らいよけの御札おふだが貼ってあった。表の戸は相変らず錠をおろしてあるので、内の様子はわからなかった。
半七捕物帳:17 三河万歳 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「そうさ、鍛冶町かじちょうを通ったら、娘に霊厳寺れいがんじ御札おふだを一枚もらってきておくれなさい」
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
母の枕もとの盆の上には、大神宮や氏神うじがみ御札おふだが、柴又しばまた帝釈たいしゃく御影みえいなぞと一しょに、並べ切れないほど並べてある。——母は上眼うわめにその盆を見ながら、あえぐように切れ切れな返事をした。
お律と子等と (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)