御座みざ)” の例文
おん身は、生半可なまはんかな知識があるので、かえって仏の御座みざの一歩まえにこだわって、ずっと、安心の座にお着座ができぬ。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
昔の鴛鴦えんおうの夢の跡の仏の御座みざになっている帳台が御簾越しにながめられるのも院を物悲しくおさせすることであった。
源氏物語:38 鈴虫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
軒ちかき御座みざと月光のなかにいざよふ夜の黒髪
舞姫 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
紫磨金しまごんの匂おだしき御座みざにして文珠のゑまひはてなかるらし
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
わしは、朝暮ちょうぼに、御座みざちかく奉仕ほうししているので、まのあたりにそのおんなやみをみて、なみだのたえぬくらいである。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)