御前様おんまへさま)” の例文
世に生業なりはひも数多く候に、優き優き御心根にもふさはしからぬやうの道に御入おんい被成候なされさふらふまでに、世間は鬼々おにおにしく御前様おんまへさまを苦め申候まをしさふらふか。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
御前様おんまへさまには追々おひおひあつさに向ひ候へば、いつも夏まけにて御悩み被成候事なされさふらふこととて、此頃このごろ如何いか御暮おんくら被遊候あそばされさふらふやと、一入ひとしほ御案おんあん申上参まをしあげまゐらせ候。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
愚なる者の癖に人がましき事申上候やうにて、誠に御恥おんはづかし存候ぞんじさふらへども、何とも何とも心得難こころえがた存上候ぞんじあげさふらふは、御前様おんまへさま唯今ただいまの御身分に御座候ござさふらふ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)