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御世辞
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おせじ
ふりがな文庫
“
御世辞
(
おせじ
)” の例文
旧字:
御世辭
すると客は、なにおれの前へ出た時だけ
御世辞
(
おせじ
)
を云ってくれりゃそれで
嬉
(
うれ
)
しいんだ、蔭で何と云ったって聞えないから構わないと答えていた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
唯経験を積んだ
御世辞
(
おせじ
)
のいい開業医に過ぎない事を知っていたので、新来の岸山先生の簡単な診察ぶりと
愛想気
(
あいそっけ
)
のない態度についてはかえって学者にふさわしいような気もした所から
寐顔
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
笑いながら
御世辞
(
おせじ
)
を云ったが、電報も打たず、いつ着くとも知らせなかった余の到着を、いくら
権威赫々
(
けんいかくかく
)
たる総裁だって予知し得る道理がない。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「なるほど面白いですなあ」と正直な兄までさも感心したらしく
御世辞
(
おせじ
)
を余儀なくされていた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ことに自分を
護
(
まも
)
る事に巧みな
技倆
(
ぎりょう
)
を
有
(
も
)
っていた。
他
(
ひと
)
の口車に乗せられやすい、また見え透いた
御世辞
(
おせじ
)
を
嬉
(
うれ
)
しがりがちな健三の実父は、何時でも彼女を
賞
(
ほ
)
める事を忘れなかった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
それほど枯れた
御世辞
(
おせじ
)
だから、それが自分には
他
(
ひと
)
の「御早う」ぐらいにしか響かなかった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
文学者だから
御世辞
(
おせじ
)
を使うとすると、ほかの諸君にすまないけれども、実を云えば長谷川君と余の挨拶が、ああ
単簡至極
(
たんかんしごく
)
に片づこうとは思わなかった。これらは皆予想外である。
長谷川君と余
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
余は日本人なりの答を得るや否や、この男が、おれも四十年前横浜に行った事があるが、どうも日本人は
叮嚀
(
ていねい
)
で親切で
慇懃
(
いんぎん
)
で実に模範的国民だなどとしきりに
御世辞
(
おせじ
)
を振り廻し始めた。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ところが下女の方では、またそれを聞くたびに不必要にふんだんな笑い方をした。本気とも
御世辞
(
おせじ
)
とも片のつかない笑い方だけれども、声帯に異状のあるような恐ろしい笑い方をした。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
わが不平が通じたのか、通じないのか、本当に気の毒がるのか、
御世辞
(
おせじ
)
に気の毒がるのか分らない。高柳君はビステキの赤さ加減を
眺
(
なが
)
めながら、相手はなぜこう感情が
粗大
(
そだい
)
だろうと思った。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それが
世間体
(
せけんてい
)
の好い
御世辞
(
おせじ
)
と違って、引き留められているうちに、上っては迷惑だろうという遠慮がいつの間にか
失
(
な
)
くなって、つい気の毒だから少し話して行こうという気になるのである。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と
好加減
(
いいかげん
)
な
御世辞
(
おせじ
)
を並べて
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
御
常用漢字
中学
部首:⼻
12画
世
常用漢字
小3
部首:⼀
5画
辞
常用漢字
小4
部首:⾟
13画
“御世”で始まる語句
御世
御世話
御世辭
御世梅
御世嗣
御世話下
御世話頼入