往還ゆきかえ)” の例文
「はて、あの大路は、つい先ほども幾たびとなく、師の房を探すために往還ゆきかえりしたが、なにも、さような気配はなかった」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
女房 お国でたとえはむずかしい。……おお、五十三次と承ります、東海道を十度とたびずつ、三百度、往還ゆきかえりを繰返して、三千度いたしますほどでございましょう。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
相撲すもうさんの舟に無銭ただで乗せてもらって往還ゆきかえりして彼処あすこで釣ったのだよ。
蘆声 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「ほんとにそうだ。……奥州から何百里、年々の往還ゆきかえりも生命がけだ。同じ生命がけなら、でッかい事を目企もくろめ」
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)