彩色いろ)” の例文
冬ですら彩色いろ絵葉書で見た通りの色彩に富んで居るのだから、夏の湖畔はだけ豊麗な風致に満ちるのだか知れないと思つた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
爺が身をかわすまに、抱えていた簿冊ぼさつのあいだから、すばやい子供の手が、チラと彩色いろの見えた検見けみ絵図の一帖をさっと抜きとって、もう下でひろげだしていた。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
固より壊空ゑくうの理をたいして意欲の火炎ほのほを胸に揚げらるゝこともなく、涅槃ねはんの真をして執着の彩色いろに心を染まさるゝことも無ければ、堂塔を興し伽藍を立てんと望まれしにもあらざれど
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
もとより壊空えくうの理をたいして意欲の火炎ほのおを胸に揚げらるることもなく、涅槃ねはんの真をして執着しゅうじゃく彩色いろに心を染まさるることもなければ、堂塔をおこ伽藍がらんを立てんと望まれしにもあらざれど
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)