弱点よわみ)” の例文
旧字:弱點
即ちその身の弱点よわみにして、小児の一言、寸鉄はらわたを断つものなり。既にこの弱点あれば常にこれを防禦するの工風くふうなかるべからず。
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
細君が帯を欲しいと言えば帯を買ってくれる、着物が欲しいと言えば着物を買ってくれる——亭主に弱点よわみが有るからそういうことに成る。姉さんの方ではそうも思わないからネ。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
すくなからず悩まされて、自分にお蔦と云う弱点よわみがあるだけ、人知れず冷汗がならいであったから、その事ならもう聞くまい、と手強く念を入れると、今夜はズボンの膝をかしこまっただけ大真面目。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ところが、これでも多少は生徒間に信用もあるので、僕が去ると生徒まで動きやしないかといふ心配があるんだ。そこが私立学校の弱点よわみなんだね。だからどうしても僕の要求を聴いてくれん。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
男の弱点よわみと、女の弱点よわみの闘争だ。
放浪記(初出) (新字新仮名) / 林芙美子(著)
分らないながらも女の道なんてことも聞いてるから、浮気らしい真似もしないけれど、芳さん、あの人の弱点よわみだね。それがために出世も出来ないなんといった日にゃ、私ゃいっそ可哀相だよ。
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)