弄具おもちゃ)” の例文
奥には、板新道の雛妓おしゃくらしいのが、五人ほど、水盤をのぞき合って、明礬みょうばん辻占つじうらだの、水草の弄具おもちゃなどを咲かせて、騒いでいる。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのまえには、秋の草花、紅白こうはくのおもち弄具おもちゃやよだれかけやさまざまなお供物くもつが、いっぱいになるほどあがっている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうだ、ましてや杢之進の持つ弄具おもちゃ同様な十手や捕縄とりなわで、そのあふれる力がせき切れるものか! ……
増長天王 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鉄槌つちかついでいる鍛冶屋の徒弟は、そこでまた、親方の姿を見失ってしまい、人混ひとごみの中でキョロキョロしていたが、やがて親方はそこらの店で眼についた弄具おもちゃの風車を買って来て彼の前に現われ
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)