建込たてこ)” の例文
建込たてこんだ表通りの人家に遮ぎられて、すぐ真向まむこうに立っているの高い本願寺の屋根さえ、何処どこにあるのか分らぬようなしずかなこの辺の裏通には
銀座界隈 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
もつともこの殺しは最初から女の細腕ではあるまいと思つたよ。あんな建込たてこんだ中で、たつた一と突きで人を殺せるのは、何んと言つても大した手際だ
あんな建込たてこんだ中で、たった一と突きで人を殺せるのは、何といっても大した手際だ
建込たてこんだ表通りの人家にさえぎられて、すぐ真向まむかいに立っているの高い本願寺の屋根さえ、何処どこにあるのか分らぬような静なこのへんの裏通には、正しい人たちの決して案内知らぬ横町よこちょうが幾筋もある。
銀座 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
代地の方は建具造作ぞうさく入替いれかえ位にてどうにか住まへるかと存じ候へども場所がらだけあまり建込たてこ日当ひあたりあしく二階からも一向に川の景色見え申さず値段も借地にて家屋だけ建坪三十坪ほどにて先方手取一万円引ナシとは大層な吹掛ふっかけやうと存じ候。
雨瀟瀟 (新字新仮名) / 永井荷風(著)