幾星霜いくせいそう)” の例文
爾来研磨けんま幾星霜いくせいそう、千葉道場の四天王たる、庄司しょうじ弁吉、海保かいほ半平、井上八郎、塚田幸平、これらの儕輩せいはいにぬきんでて、実に今では一人武者であった。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
あらゆるものが、幾星霜いくせいそうのおもむろな侵蝕しんしょくのあとをとどめている。だが、そのほろびのなかにこそ、何か哀愁をそそり、また心を楽しくさせるものがあるのだ。
木ぎれは蘚苔せんたいにくさって、鉄環てつわは赤くさびている、風雨幾星霜いくせいそう、この舟に乗った人は、いまいずこにあるか、かれはどんな生活をして、どんなおわりをとげたか。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
爾来じらい幾星霜いくせいそう風雨ふううにうたれたヘクザ館は、古色蒼然こしょくそうぜんとして、荒れ果ててはいるが、さいわいにして火にも焼かれず、水にもおかされず、いまもって淡路島の中央山岳地帯に、屹然きつぜんとしてそびえている。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)