幸福者しあわせもの)” の例文
かれは、まったくの幸福者しあわせものとなったのであります。ある帳場ちょうばにすわって、あには、煙草たばこをふかしながら、そと往来おうらいをぼんやりとながめていました。
くわの怒った話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「熊野三山の別当職、定遍僧都にお眼にかかろうと、夜をかけて行くわしら二人に、逢ったお前さんは幸福者しあわせものさ」
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それを今、あのお嬢様と比べて見れば、自分の方が確かに幸福者しあわせものであると言われて、なるほどそうかと思わねばならないことほど無惨むざんに感じたのであります。
... もらうのだから僕は幸福者しあわせものさ」雇婆「お仕合せですとも。あのお嬢さんがいらしったら大事にしておげなさいまし。粗末にするとばちが当ります」主人「大事にするとも真綿まわたへくるんで桐の箱へしまっておこう」
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
「世間の人達は反対にこの国で一番幸福者しあわせものがこのわしじゃなどと云っている」
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)