干城かんじょう)” の例文
なぜならば、その干城かんじょうの大事を知って、浅井長政も、いちはやく、鎌刃城かまはじょうにいた樋口三郎兵衛を、長亭軒の城のほうへ移して守らせているからである。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こちらから千人、それに洋服を着せて団袋だんぶくろをはかせてみると、見かけはこの通り堂々たる国家の干城かんじょう、これを称して六尺豊かの兵隊さんとは誰が洒落しゃれた。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
今天下の士君子、もっぱら世事せいじ鞅掌おうしょうし、干城かんじょうわざを事とするも、あるいは止むをえざるに出ずるといえども、おのずからその所長所好なからざるをえず。
中元祝酒の記 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「国家の干城かんじょうたる軍人」が悪いのか、母といもととが悪いのか、今更いうべき問題でもないが、ただ一の動かすべからざる事実ありいわく、娘を持ちし親々は、それが華族でも、富豪ふうごうでも、官吏でも
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)