幌馬車ほろばしゃ)” の例文
喪布を張った幌馬車ほろばしゃが一つそのあとに続いて、白い法衣を着た一人の牧師と、赤い帽子をかぶった歌唱の一人の子供とが乗ってるのが見えた。
ちょうどその時、そこへ一台の幌馬車ほろばしゃが通りかかった。幌馬車はそこに立っている馬や人々のために進路を遮られた。敬二郎らは馬を路傍へ寄せた。
恐怖城 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
小さな馬と幌馬車ほろばしゃを買って、あの子がぜひとも黒駒くろにしてくれと申しますから、黒駒くろを買うことにして、一昨日、計画したように、ここを立つんでございます。
生糸検査所、銀行、美術品店、商館——わずか十年前には見られなかった煉瓦造りの町に、砂糖やメリケン粉を積んだ幌馬車ほろばしゃの馬が、鳴るむちの下に、黄色いほこりをあげて奔馳ほんちしてゆく。
旗岡巡査 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
村のひとたちの話に依れば、くろんぼは、やはり檻につめられたまま、幌馬車ほろばしゃに積みこまれ、この村を去ったのである。太夫は、おのが身をまもるため、ピストルをポケットに忍ばせていた。
逆行 (新字新仮名) / 太宰治(著)
ブールゴーニュ街やサン・ドミニク街の幌馬車ほろばしゃははでやかに付近をゆききし、黄色や褐色かっしょくや白や赤の乗合馬車は向こうの四つつじにゆききしてはいたけれど
ほかでもない、ある幌馬車ほろばしゃの御者が、三度も四度もどなりつけたにかかわらず、彼が危く馬の首の下へはいってきそうになったので、むちでぴしっと背中をどやしつけたのである。
その市門の所で幌馬車ほろばしゃに乗り、天文台の前の広場まで行った。