差逼さしせま)” の例文
今日は君とゆつくり落ちついて話したいと思つてゐたのだが、急に差逼さしせまつた用事が起きたので、これから出掛けなくつちやならん。
恐れと悲しみとにわなわなとふるえているのは、今下げたかしら元結もとゆいの端の真中に小波さざなみを打っているのにも明らかであり、そして訴願の筋の差逼さしせまった情に燃えていることと見える。
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
何故というに、貧に安んずれば必ずや死に臨む前において既に早く幸福と希望と勇気とを得て、極端の場合に差逼さしせまるに至らずに済むであろう。貧乏を嫌がり嫌がりて日を送るから愈々いよいよ貧乏になる。
貧富幸不幸 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「それはかん。何分なにぶん時間が差逼さしせまつてゐるんだから。」