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巒気
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らんき
ふりがな文庫
“
巒気
(
らんき
)” の例文
雲は白く
綿々
(
めんめん
)
として去来し、
巒気
(
らんき
)
はふりしきる
蝉
(
せみ
)
の声々にひとしおに澄みわたる、その峡中に白いボートを漕ぐ白シャツの三、五
子
(
し
)
がいる。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
御山は
春日
(
かすが
)
の三笠山と同じような山一つ、樹木がこんもりとして、朝の
巒気
(
らんき
)
が
神々
(
こうごう
)
しく立ちこめております。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
しかし
遂
(
つい
)
に彼らは帰って来なかった。しんしんと冷えて来た夜半の
巒気
(
らんき
)
のなかで、勢いのおとろえた焚火を見つめながら、彼は何ということなしに、泣きたくなった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
ほとんど俗世間に在るを忘却いたし(親子どんぶり、親子どんぶり)ふと眼前にあらわれたるは、幽玄なる太古の動物、深山の(言うという字に糸二つか)
巒気
(
らんき
)
たゆとう尊いお姿
黄村先生言行録
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
巒気
(
らんき
)
か、冷気か、雲が迅いか、日がかげるか、自動車の捲き起す
疾風
(
はやて
)
か、私たちの胴ぶるいこそは繁くなると
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
▼ もっと見る
机竜之助も、ふとこの朝、植田の邸を出て、
爽
(
さわ
)
やかな夏の朝の
巒気
(
らんき
)
を充分に吸いながら、長者屋敷の方を廻って、何の気もなくこの二本杉のところまで来かかったのでありました。
大菩薩峠:04 三輪の神杉の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
君、古代のにおいがするじゃないか。深山の
巒気
(
らんき
)
が立ちのぼるようだ。ランキのランは、言うという字に糸を二つに山だ。深山の精気といってもいいだろう。おどろくべきものだ。ううむ。
黄村先生言行録
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
ごめん——と口の中で云って彼は流れのそばに
蹲
(
しゃが
)
んだ。その小さな川の水を
掬
(
すく
)
って口を
漱
(
すす
)
ぎ、顔を洗った。深山の水は切れるような冷たさであった。洗われた肌には
爽昧
(
そうまい
)
の
巒気
(
らんき
)
が浸みとおった。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
巒気
(
らんき
)
たゆとう尊いお姿が、うごめいていて、そうして夜網にひっかかったの、ぱくりと素早くたべるとか何とか言って、しまいには声をふるわせて、一丈の山椒魚を見たい、せめて六尺でもいい
黄村先生言行録
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
巒気
(
らんき
)
と
水光
(
すいこう
)
と変幻する雲、雲、雲。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
巒
漢検1級
部首:⼭
22画
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
“巒”で始まる語句
巒
巒色
巒々
巒影
巒際