山駕やまかご)” の例文
うまく説教したと見えて、やがて指揮官は、おりがら日射病で倒れた「護衛隊」の一人のために、山駕やまかごを心配するという変り方だった。
撥陵遠征隊 (新字新仮名) / 服部之総(著)
半分は死んでいるような六三郎を山駕やまかごにのせて、一座の子供役者はこの土地を立ち退くことになりました。
子供役者の死 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ちょう山駕やまかごは、彼のために新しく作られてあった。これも秀吉の思いりの物である。門を出て山道を降って行くその影を、秀吉も官兵衛も熱い眼で見送っていた。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
拾ったというと語弊ごへいがあるが、彼が箱根で山駕やまかごにのると先棒さきぼうをかついでいたのが、この勘太で若くて体もいいのに、ひょろついてばかりいる。そしては後棒あとぼう雲助くもすけ
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「兵助っ。金八郎っ。——支度はいいか。奥方おくを……いや迦羅奢を、すぐ用意の山駕やまかごにうつせ」
秀吉は、寺へは寺領を寄進し、村長むらおさへは、村一同への恩賞を下げ渡して出発した。列伍は長々とつづいて行く。母堂は急づくりの山駕やまかごへ乗せられ、秀吉夫婦が側へついていた。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さりとて、きんしょうも、手荒はちっともされなかった。ただ山駕やまかごほうり込まれて、上から麻縄をかけられ、夜どおし目もまわるような早さで翌日も素ッ飛ばされていただけだった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「立派な乗物はないだろうが、山駕やまかごとかいうものぐらいはあるだろうに」
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)