山彙さんい)” の例文
この例は八ヶ岳の裾野では割合に少ないが、小規模のものならば各所の山地に見られる。殊に吾妻山彙さんいには多くの森林化した平があるように思った。
高原 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
私は眼をたにの方の眺めへ移した。私の眼の下ではこの半島の中心の山彙さんいからわけ出て来た二つの溪が落合っていた。
蒼穹 (新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
東は北安曇あづみの平原を見下し、西は黒部の渓谷をへだてて立山の山彙さんいと相対する。山の景色としては申分ない。
可愛い山 (新字新仮名) / 石川欣一(著)
それから北上川左岸の連山、次には只見川ただみがわの上流から越後秋山へかけての一帯、東海岸は大井川の奥、次は例の吉野から熊野の山、中国では大山山彙さんいなどが列挙しえられます。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
駿河の久能の山彙さんいあるいは越後の弥彦やひこのごとき海に面して横たわりせる山ではかりにまともに沖から吹き当てる風でも、この山の附近においては横に流れて浜に沿うた風となる。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
白山はくさん山彙さんいを取りめぐらした飛騨・越前の大野郡、美濃と加賀との旧大野郡、さては大分県の大野郡という地名を見ても察せられるように、また花合せ・骨牌カルタの八月をノという人があるように
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)