しがい)” の例文
こうして、谷底へ狩り集められた数百匹の野獣の群は、眼に見えぬ手に殺されて累々たるしがいと変って行った。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
手折った桜の枝が地に落ちていて、花がしがいの辺りに散り敷いているのが、憐れさの風情を添えていた。
仇討姉妹笠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それら殺された獣のしがいは、眼に見えぬ手で持ち去られるものか、それとも雪に埋もれるのか、瞬間またたく間に消え去って、後には斑々たる生血ばかりが雪を紅に染めている。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「それでは法蔵寺の墓地を開いて赤児あかごしがいでも引き出して三ばいにして食わせようかい」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)