小費こづか)” の例文
暇にまかせて、こっそりめかけのおとりもち、出逢い茶屋まがいのチョンの貸し、そんなことでもしてお小費こづかいをいただかないことにゃあ
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
酔っ払っちゃあどこの家へも這入はいりこんで、宿を貸せの、小費こづかいを出せの、文句をいえば、暴れ廻るし、いやもう手古てこずり抜いたものとみえまさ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
江州こうしゅうは、米どころ、魚もとれ、気候もよい。気をゆたかに、刑期をしんぼうしてくれい。折をみて、弟を見舞いにやろうし、小費こづかいも届けようぞ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『洗濯物の世話、小費こづかいの世話、年月は短けえが、浅い恩たあ思わねえ。別れた後も、年上のおめえだから、姉さんだと思って、忘れずにいるからな』
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たんまり小費こづかいを持って、どこかへ遊びに行った三人のうち、大亀だけ、午ごろ急に帰って来た。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
工事が終るまで、寝泊りも、御城内の小屋でするから、小費こづかいもつかいようがない。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おれも不憫ふびんと思って、小費こづかいの都合をつけてやったりしているのに、それを、おかしい方へ気を廻して、おれとお吉さんとが、妙な仲ででもあるようにいわれちゃ、おれも、男が立たねえ
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「李鴻章に、首でもくくられると、わたしだって、お小費こづかいに困るからね」
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なぜそのひまに、亭主の晩の酒代のしにでもなるように、魚でもるとか、縄でもうとか、他人ひとの仕事の縫物ぬいものでもするとか、小費こづかいの多足たそくになることを考えねえのだ——この浮気者め」のみ
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)