小舅こじゅうと)” の例文
だから突然この小舅こじゅうとと自分の間に御櫃おはちを置いて、互に顔を見合せながら、口を動かすのが、御米に取っては一種な経験であった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
御方おかたですし、外には、門野は一人子だものですから、小舅こじゅうとなどもなく、却て気抜けのする位、御嫁さんなんて気苦労のらぬものだと思われたのでございました。
人でなしの恋 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
然し蒲生家の者は、其歌は賢秀の上を云ったのでは無く、賢秀の小舅こじゅうとの後藤末子に宗禅院という山法師があって、山法師の事だから兵仗へいじょうにもたずさわった、其人の事だ、というのである。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「わしはな、その孫提轄そんていかつ小舅こじゅうとにあたるもんですよ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まあ普通の小舅こじゅうとぐらいの親しみはあると信じているようなものの、こんな場合になると、つい実際以上にも気を回して、自分だけが小六の来ない唯一ゆいいつの原因のように考えられるのであった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)