小岩鏡こいわかがみ)” の例文
小岩鏡こいわかがみなどの紅花を点綴てんていしたお花畑を眺めながら、つばくろの小屋場といわれていた山稜上の一地点に達するのである。
雪の側はいわゆる御花畑で、塩釜しおがま白山一華はくさんいちげ小岩鏡こいわかがみなどが多い。
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
白根葵しらねあおい小岩鏡こいわかがみ、白い花の撫子なでしこ日光黄菅にっこうきすげ、白花石楠などが花盛りで、一見お花畑のようである。此処ここから瞰下すると幽ノ沢の全渓が雪で埋められているのが分った。
利根川水源地の山々 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
勾配の急峻な岩の襞には、小岩鏡こいわかがみ珍車ちんぐるま白山一華はくさんいちげなどの花が可憐な姿を見せているものの、岩が脆いので、足の運びが悪いと忽ち岩角が崩れて、少しも油断がならない。
少し下ると大雪田が始まる、白山小桜、珍車ちんぐるま小岩鏡こいわかがみ岩銀杏いわいちょうなどが目に入る。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
瞰下みおろす左の谷は黒木の茂ったおくぶかい子酉川の上流で、脚の下は百尺の懸崖である。岩間には低い灌木が生えていて、日蔭かずら、苔桃こけもも小岩鏡こいわかがみなどが目に入る。此岩峰は地図に記載してない。
秩父の奥山 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
蒼黒い偃松はいまつの叢立を島のように取り巻いた鮮緑の草原を飾る白山小桜はくさんこざくら小岩鏡こいわかがみの紅と、珍車ちんぐるま白山一華はくさんいちげの白と、千島桔梗ちしまぎきょう虫取菫むしとりすみれの紫とは、群落をなした多くの花の中でも特に目立って美しい。
日本アルプスの五仙境 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
例えば見渡す限り白い花の白山一華はくさんいちげに交って、紅い小岩鏡こいわかがみや、紫の虫取菫むしとりすみれなどが点在しているといった工合である。しかし少しも外のものが混らないで、純群落を作っていることもまた少なくない。
山の魅力 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)