小婢こをんな)” の例文
たちまちはたはたと跫音あしおと長く廊下にいて、先のにはあらぬ小婢こをんな夕餉ゆふげを運びきたれるに引添ひて、其処そこに出でたる宿のあるじ
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
前にゐた下宿では、盜癖のある小婢こをんながゐて、時折間違があつたが、此處に來てからは安心して居た。
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
今や十二時にも成りなんにと心に懸けながら、その音は聞くに及ばずしてつひねむりを催せり。日高ひだかき朝景色の前に起出づれば、座敷の外を小婢こをんな雑巾掛ぞうきんがけしてゐたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)