封地ほうち)” の例文
また御政治の方針からいっても、大藩の封地ほうちは、できる限り、けずり取るか、取潰とりつぶすか、せねばならぬ。その大きな後始末が残っている
柳生月影抄 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こうやって裸体のまま引廻された八重垣姫は、その城下から封地ほうちの屋形に連れ戻されることになり、馬は姫を載せて本居の城あとの見えるところまで進んできた。
宮廷から封地ほうちをはじめとして太上だいじょう天皇と少しも変わりのない御待遇は受けておいでになるのであるが、正式の太上天皇として六条院は少しもおふるまいにならないのである。
源氏物語:34 若菜(上) (新字新仮名) / 紫式部(著)
昭王が孔子に封地ほうちを与えようとし、その臣がそれを阻止した。しかもその理由は、孔子が先王の道を説いていること、その弟子たちがいずれも王の臣よりは優れていることであった。
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
そして、その玄蕃盛政は、まだ二十九という若さであるにかかわらず、柴田一族の上将として加賀の尾山城に住み、ここに在る諸大名とくらべても、何ら遜色そんしょくないほどな封地ほうちと待遇をうけていた。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)