対屋たいのや)” の例文
旧字:對屋
あるじ帳内ちょうだいに間ぢかく詰めている宿直とのいたちはもちろん始終を聞いていたし、対屋たいのやや遠侍の控えにまで、清盛の声はきこえて来た。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼がそう云われて、西の対屋たいのやへ戻って来ると、果してあの男が簀子すのこのところに待ち構えていて
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
程なく寝殿やお対屋たいのやの崩れ落ちる有様を、あれよあれよとただ打ち守るばかり。
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
ここは北の対屋たいのやの東の庭であった。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
あれは渡殿の軒に近く紅梅がほころびていたことを思うと、或る春の日のことであったのは間違いないが、彼が西の対屋たいのや簀子すのこのところで、二三人の女童めのわらわを相手に遊んでいると
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
程なく寝殿やお対屋たいのやの崩れ落ちる有様を、あれよあれよとただ打ち守るばかり。
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)
如才じょさいのない平中はかねてからそれに眼をつけ、巧く此の児に取入っていて、或る日此の児が本院の館へ来、母が住んでいる寝殿の、西の対屋たいのやで遊んでいるところへ行き通わして
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)