寒鴉かんあ)” の例文
やがて、黄昏たそがれの寒鴉かんあの声を聞きながら、範宴も、法隆寺へ帰って行った。そして、山門の外から本堂の御扉みとびらを拝して、弟のために、祈念をこらした。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
むか以太利イタリーの大家アンドレア・デル・サルトが言った事がある。画をかくなら何でも自然その物を写せ。天に星辰せいしんあり。地に露華ろかあり。飛ぶにとりあり。走るにけものあり。池に金魚あり。枯木こぼく寒鴉かんああり。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
蕭々しょうしょうたる戦野の死屍ししは、いたずらに、寒鴉かんあを歓ばすのみであった。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)