宿昔しゅくせき)” の例文
宿昔青雲志、蹉跎白髪年、誰明鏡裏、形影自相憐宿昔しゅくせき 青雲せいうんこころざし蹉跎さたす 白髪はくはつとし。誰か知る明鏡めいきょううち形影けいえいみずかあいあわれむ〕とはこれ人口に膾炙かいしゃする唐詩なり。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
全国の人がただ政府の一方を目的にしてほかに立身の道なしと思込おもいこんで居るのは、畢竟ひっきょう漢学教育の余弊で、所謂いわゆる宿昔しゅくせき青雲の志と云うことが先祖以来の遺伝に存して居る一種のまよいである。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
六十余州を踏破とうはするの自由は、我らの志を満足せしむる能わざるが故に、我らは五大洲を周遊せんことを願えり、これ我らが宿昔しゅくせきの志願なりき。我らが多年の計策は、一朝にして失敗せり。
船医の立場 (新字新仮名) / 菊池寛(著)