容姿ようす)” の例文
と私が尋ねますと、父は微笑んで、鏡といふものは男にも大切だ、殊に斯うして旅にでも來た時は、自分の容姿ようすを正しくしなければ成らないと私に話しました。
あの小僧はちっちゃくて容姿ようすいので毛唐の変態好色すけべえ連中が非常にくんだそうです。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
さすがの美人がうれいしずんでる有様、白そうびが露に悩むとでもいいそうな風情ふぜいを殿がフト御覧になってからは、ゆうたえなお容姿ようすに深く思いをよせられて、子爵の御名望ごめいぼうにもかえられぬ御執心と見えて
忘れ形見 (新字新仮名) / 若松賤子(著)
やはり頭領の一人娘だけに衣裳などでも他の娘などより立派な物を着ているので自然引っ立ちもするのであろうが、下界高島の城下における立派な武士の令嬢と云っても充分通る容姿ようすであった。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
彼女は今一人の女よりはずつと若く且つ美人で、態度ものごし容姿ようすいきであつた。面長で、鼻がつんと高く、頬がつや/\して居た。けれども年増の女に比べると優し味が少い様にその時私に思はれた。
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)