安宅あたけ)” の例文
安宅あたけの松の鮨、竈河岸へっついがし毛抜けぬき鮨、深川横櫓よこやぐらの小松鮨、堺町さかいちょう金高かねたか鮨、両国の与兵衛よへえ鮨などが繁昌し、のみならず鮨もだんだん贅沢になって
顎十郎捕物帳:22 小鰭の鮨 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
然し渡場わたしばいまこと/″\く東京市中から其の跡を絶つた訳ではない。両国橋りやうごくばしあひだにして其の川上かはかみ富士見ふじみわたし、その川下かはしも安宅あたけわたしが残つてゐる。
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
尋けるに權兵衞は故郷こきやう引込ひきこみたる由土地ところの者申故三吉は力なく又々安宅あたけの方へ到りしに當時は所々に切店きりみせ有て引込ける故ぶらりと是へ上り大に酒をのみ一分ばかりも遣ひ其夜は遊びて翌朝立出朝飯あさめし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
しかし渡場はいまだことごとく東京市中からその跡を絶った訳ではない。両国橋を間にしてその川上に富士見ふじみわたし、その川下に安宅あたけの渡が残っている。