孤身こしん)” の例文
ここにおいて甲斐守はあらたに静岡の藩主となった徳川氏のもとに赴きみずから赦免を請うたのち白髪はくはつ孤身こしん飄然ひょうぜんとして東京にさまよいきたったと云う。
枇杷の花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
三味線一挺あれば、孤身こしんを養うにはことも欠かないし、身を切るような夜風にふきさらされても、ばちを飯の種と思ってはりをこめれば、寒さなどは忘れている。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)