子酉ねとり)” の例文
ただ笛吹川の上流子酉ねとり川の左岸に屹立した鶏冠とさか山のみが、青葉の波の上に名にし負う怪奇な峰頭をもたげて、東沢西沢の入口をやくし、それらの沢の奥深く入り込もうとする人に
秩父の渓谷美 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
笛吹川は秩父街道最奥の部落である広瀬附近から上流になると子酉ねとり川と呼ばれている。
下り着いた鞍部は入川谷の木賊沢と子酉ねとり川のヌク沢との分水点に当っている。唐檜とうひ白檜しらべの密生した梭葉草の多い小山を二つ踰えて、三つ目の山に懸った。この登りが飽きる程長い。
奥秩父の山旅日記 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
バラ平を過ぎて子酉ねとり川が左に折れるあたりから、道は河に沿うて木立の中に這入って行く。頬を撫でる若葉の風に迎えられて、青笹川を渡るともう陰森の気が迫って来る。下蔭に笹が多い為であろう。
釜沢行 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
この山の頂は頗る狭いが、岩石が露出してやや高山相を呈している。そして頂上直下より子酉ねとり川の東沢へなだれ落ちた崩壊面は、極めて少許すこしばかりの古生層の岩片の外は、花崗岩より成れることを示している。
秩父の奥山 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)