媒酌人なこうど)” の例文
あの人は、私が世話になってる叔父が媒酌人なこうどで結婚をしたんだろう。大して懇意ではないが見知越みしりごしでいたのだった。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
もともと東京へ帰ってからもらうという約束があったので、媒酌人なこうどもその地にはいなかった。健三は参考のためこの媒酌人が書いて送ってくれた注意書ちゅういしょのようなものを読んで見た。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ところが、その媒酌人なこうどのところへ、後妻に世話した女が泣き込んで来ました。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
三枝未亡人がこの娘の話を聞くと、意外に感じたことは道理もっともなこと。これはまず何より媒酌人なこうどの東雲さんに話すがかろう。この嫁入り前より何か他に思い込んだ婦人でもあるのではないか。
吾儕われわれ媒酌人なこうどをしてくれた先生だったけナア」
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「昔から媒酌人なこうど附の縁談が纏まらなかった為に、死ぬの、活きるの、と云ったためしはありません。騒動の起るのは、媒酌人なしの内証の奴にきまったものです。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……で、この歌人うたよみさんとは、一年前、結婚をしたのでしたが、お媒酌人なこうども、私どもの——先生です。前から、その縁はあるのですけれども、他家よそのお嬢さん、毎々往来をしたという中ではありません。
白花の朝顔 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「じゃあその教頭、媒酌人なこうどるんだな。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ああ、媒酌人なこうどには何がなる。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)