威迫いはく)” の例文
目をつぶって、覚悟かくごをしろ、逃げようとしても、それは無駄むだだぞ——と、おそろしい威迫いはくの目をもって、胴田貫どうたぬきの大刀を面前にふりかぶった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
闇討ちや刀槍とうそう威迫いはくにはいっこう驚かぬ剛愎な連中も、さすがにどうも膚寒はださむい気持で、その話にだけはなんとなく触れたくなく、しめしあわしたように口をつぐんでいた。
顎十郎捕物帳:14 蕃拉布 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
雪之丞は、怪しくも、この低い、地をうような音声に威迫いはくされた。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
とおそろしい威迫いはくを感じる声で、ズカリとくるなり足をあげて、般若丸はんにゃまるかまえていた竹童の小手を横にった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)