威権いけん)” の例文
旧字:威權
ほとんど衆みなその方の威権いけん慴伏しょうふくし、あえてその非を鳴らす者もなかろうが、かかる時こそ、そち自身は、いっそう慎まねばなるまいぞ
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
亭主に向いては威権いけんはなはだ強過れどればとてうやまわざるにあらず、人附ひとづきはなはだ好ければいやらしき振舞はたえて無く
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
だって、武人の似絵は、どれを見ても、みんな強そうにか、でなければ、威権いけんを誇示しているのが普通でございましょう。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また、六歳の幼少より、他家へ人質にとられ、目に見るまわりの人間は、みな自分より威権いけんのある者ばかりじゃった。自然、子どもの中でもり身に歩かぬくせがついてしもうた。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)