委蛇いい)” の例文
イシカリ川、その源は遠く山間に発し、委蛇いいとして西海に入る、沿岸は渺漠びょうばくたる大原野ありて四方便利の地たり、これを
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
画は青緑せいりょく設色せっしょくです。たにの水が委蛇いいと流れたところに、村落や小橋しょうきょうが散在している、——その上に起した主峯の腹には、ゆうゆうとした秋の雲が、蛤粉ごふんの濃淡を重ねています。
秋山図 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
而して某まさに炎々赫赫、寵をたのみて悔ゆるなく、召対しょうたいまさ闕下けつかに承け、萋斐せいひすなわち君前に進む。委蛇いいわずかに公より退けば、笙歌已に後苑に起る。声色狗馬せいしょくくば、昼夜荒淫、国計民生、念慮に存ずるなし。
続黄梁 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)