奥坐舗おくざしき)” の例文
気むずかしい苦り切ッたおそろしい顔色をして奥坐舗おくざしきの障子を開けると……お勢がいるお勢が……今まで残念口惜しいと而已のみ一途に思詰めていた事ゆえ
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
すこ躊躇ためらッていて、「チョッ言ッてしまおう」と独言ひとりごとを言いながら、急足あしばやに二階を降りて奥坐舗おくざしきへ立入る。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
何心なく文三が格子戸こうしどを開けてうちへ這入ると、奥坐舗おくざしきの方でワッワッと云う高笑いの声がする。耳をそばだててく聞けば、昇の声もそのうちに聞える……まだ居ると見える。文三は覚えず立止ッた。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)