すさ)” の例文
「いやいや、その呂律りょりつには重蔵の義心があろう、たえな調べには千浪の孝心貞節もこもるであろう、予はその妙韻みょういんを聞きすましたい、是非、何がな一曲すさんでくれい」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いや、一片の風流子の心事と、法月弦之丞の心に波うつものとは、だいなるへだてがある筈だ。したがって、同じ竹枝ちくしすさびにしても、その訴えるところは、ちまたや僧院の普化ふけたちとは必然なちがいをもつ。
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)