太宰だざい)” の例文
〔註〕太宰だざい氏の『経済録』政篇に曰く。日本においては諸道の学者技芸まで多くは専門にてその家を世々にし、国家に仕えてその禄俸を世々にす。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
太宰だざいというのは、わばペンネエムであって、私の生まれた時からの名は、その木村武雄なのである。
乞食学生 (新字新仮名) / 太宰治(著)
書庫へ本を取りにいった戻りにふとそういう妻の声をきいて、太宰だざいは廊下の端にたちどまった。
日本婦道記:尾花川 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
同時に、本花道からしずかにあゆみ出た切り髪の女は太宰だざい後室こうしつ定高さだかで、眼の大きい、顔の輪郭のはっきりして、一種の気品をそなえた男まさりの女、それは市川団十郎だんじゅうろうである。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
土地の八幡はちまん神社の御神体になっているといった人もあれば、海岸の岡の上に今でもあって、もう三尺余りになっているという人もありました。(太宰だざい管内志。福岡県糸島郡深江村)
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
春台しゅんだい太宰だざい先生も
県歌 信濃の国 (新字新仮名) / 浅井洌(著)
私がかわやに立つと、すぐその背後で、「なんだ、太宰だざいって、そんな変ったやつでも無いじゃないか。」
(新字新仮名) / 太宰治(著)
姫は太宰だざいの息女雛鳥ひなどりで、中村福助ふくすけである。雛鳥が恋びとのすがたを見つけて庭に降りたつと、これには新駒しんこま屋ァとよぶ声がしきりに浴びせかけられたが、かれの姫はめずらしくない。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
自分では、もっとも、おいしい奉仕のつもりでいるのだが、人はそれに気づかず、太宰だざいという作家も、このごろは軽薄である、面白さだけで読者を釣る、すこぶる安易、と私をさげすむ。
桜桃 (新字新仮名) / 太宰治(著)