天目台てんもくだい)” の例文
のどがかわけば小間使いが天目台てんもくだいをすりあしでささげてまいりたばこがほしければ一ぷく一ぷくそばから長い煙管キセルにつめて火をつけて出す
蘆刈 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
顔に見覚えのある、司馬の門弟の少年が一人、しとね天目台てんもくだいにのせた茶などを、順々に運び出てすすめたのち、つつましやかにさがってゆく。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
そのあいだに、常葉ときわの局は、唐団扇からうちわで横からりょうを送り、百合殿ノ小女房は、天目台てんもくだいにのせたお薬湯のわんをすすめた。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けばけばしく真赤まっか禅入ぜんにゅうを、木兎引ずくひきの木兎、で三寸ばかりの天目台てんもくだい、すくすくとある上へ、大は小児こども握拳にぎりこぶし、小さいのは団栗どんぐりぐらいな処まで、ずらりと乗せたのを、その俯目ふしめに、トねらいながら
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
田丸主水正たまるもんどのしょうは、主君対馬守のお代理という格式で、突き袖をせんばかり、そっくりかえってその部屋へはいっていくと、竹田は、前に出ていた天目台てんもくだいをちょっと横へそらして、両肘を角立てて
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)