天下人てんかびと)” の例文
天下は暗澹あんたん——いずれ、光明のかんむりをいただく天下人てんかびとはあろうが、その道程どうてい刀林地獄とうりんじごく血汐ちしお修羅しゅらじゃ。この秀吉ひでよしのまえにも多難な嶮山けんざん累々るいるいとそびえている
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
早や天下人てんかびと虚態きょたいよそおうなど、沙汰のかぎり、徳川家として、それを許しておるべきではない
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
異国人の眼にすら光秀の無理な力で持った「天下人てんかびと」の威権はそう観察されていた。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
勝てば、直ちに、明日からは、天下人てんかびとともいわれる約束をもつ彼が、もしこの間に毛ほどでも、明日以後の世や一身の栄えを思っていたら、決してこんな赤裸一挙の勝負を果し得るものではない。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
将来天下人てんかびと兆瑞ちょうずいがお見えあそばすということ、君のおんためには死も一もうより軽しということ、それから、こんどは手まえ味噌みそで天下の野武士のぶしはわが指一本にうごくというじまん、幻術げんじゅつは天下無双むそう
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
果たして天下人てんかびとたるうつわを備えておられるでしょうか
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「……が、殿。……あなた様こそは、かかる時代に、生れあわせ、また選ばれたるものぞと、御自身、お思いにはなりませぬか。……つらつら半兵衛が、見上げ奉るところでは、あなた様は、ゆめ、天下人てんかびとたらんなどとは、野望しておいででない」
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)