大頭おおあたま)” の例文
「ほお、上に判然と書いてあるんだね。俺は、頭の上が禿げて見えねえから、禿頭はげあたまかと思って。——大頭おおあたまなのに、小頭こあたまと言うのも……」
或る部落の五つの話 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
どっかりと横に寝そべったあの青瓜の大頭おおあたまの前に出ては、何となく気圧けおされがちに見えるのもおもしろいと思った。
艸木虫魚 (新字新仮名) / 薄田泣菫(著)
尾張おわり殿、肥後ひご殿、仙台殿、一ッ橋殿、脇坂殿、大頭おおあたまばかりが並んでいた。その裏門が海に向いた、わけても宏壮な一宇の屋敷の外廻りの土塀まで来た時であった。
柳営秘録かつえ蔵 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
なんとかスタインという倫敦ロンドン財界の大頭おおあたま——すでに何とかスタインである以上、それはつねに財界の黒幕にきまっている——が、海峡のうえで飛行機から落ちて
踊る地平線:04 虹を渡る日 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
九天たかくおわします神は、来る日も来る日も昼寝のみ、まったくの怠慢。私いちど、しのび足、かれの寝所に滑り込んで神の冠、そっとこの大頭おおあたまへ載せてみたことさえございます。
二十世紀旗手 (新字新仮名) / 太宰治(著)
マリア・テレジアの別荘に合唱団の一員として伺候し、精一杯の茶目振りを発揮して、マリア・テレジアに「あのブロンドの大頭おおあたま」と指摘され、鞭のお仕置を受けたことなどもあった。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
智嚢ちのうということでは、家康はおのれ一箇の智をもって、決して、足りないとはしていない。けれど彼は、その大頭おおあたまのうちに豊かに持っているものの他に、もう一つ、非常な特質を持っていた。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すると博士は、人並ひとなみはずれた大頭おおあたまを左右にふりながら
「兎に角、こゝは大頭おおあたまを二人出しているからえらいよ」
村の成功者 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「一体その二三人の大頭おおあたまはどんな人間かねえ。」
食堂 (新字新仮名) / 森鴎外(著)