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たいとくわい
雪国の人は春にして春をしらざるをもつて
生涯を
終る。これをおもへば
繁栄豊腴の
大都会に
住て
年々歳々梅柳媆色の春を
楽む事
実に
天幸の人といふべし。
雪国の人は春にして春をしらざるをもつて
生涯を
終る。これをおもへば
繁栄豊腴の
大都会に
住て
年々歳々梅柳媆色の春を
楽む事
実に
天幸の人といふべし。
其元日も此雪国の元日も
同元日なれども、
大都会の
繁花と
辺鄙の雪中と
光景の
替りたる事
雲泥のちがひなり。
其元日も此雪国の元日も
同元日なれども、
大都会の
繁花と
辺鄙の雪中と
光景の
替りたる事
雲泥のちがひなり。
されば人も三四月にいたらざれば梅花を
不見、翁が句に 春も
稍景色とゝのふ月と梅、と
吟ぜしは
大都会の正月十五日なり。また「山里は万歳
遅し梅の花」とは
辺鄙の三月なるべし。
されば人も三四月にいたらざれば梅花を
不見、翁が句に 春も
稍景色とゝのふ月と梅、と
吟ぜしは
大都会の正月十五日なり。また「山里は万歳
遅し梅の花」とは
辺鄙の三月なるべし。