大路たいろ)” の例文
これよりみやこし驛に至る、坦々たん/\の如き大路たいろにして、木曾川は遠く開けたる左方の山の東麓を流れ、またその髣髴を得べからず。
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
「鎮台大路たいろへむかって、南側の官邸が、りゅう文官のおうちで、もうすこし先の北側のおやしきが、武官の花栄かえい閣下のおすまいでございますよ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大千世界を観ることようやくにして掌上の菓を視るが如くになり、未来は刻々に鮮やかに展じて、億万里程もただ一条の大路たいろの如く通ずるを信ずるに至ったでもあったろう。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
上海シャンハイ大路たいろ小路しょうろをうろうろしていたのである。
數歩にして既にその舊道のいかに嶮に、かついかに荒廢に歸したるかを知りぬ。昔の大路たいろには荊棘けいきよく深く茂りて、をり/\よこたはれる小溪には渡るべき橋すら無し。
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
「はっ」と恐懼きょうくしてひき退がり、即刻、官兵百人の先頭に立ち、馬上、金鎧きんがい長剣の雄姿を風に吹かせて、夜どおし道をいそぎ、やがて清風ちんの鎮台大路たいろ、劉高の公邸の前でまず馬をおりた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大路たいろをへだてて、弟の文炳ぶんぺいの邸宅とは、すぐの斜向はすかいです」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)