大船おおぶね)” の例文
「もう大丈夫。わしが——この名探偵長大辻がついている以上、何が来たってもう大丈夫だ。マリ子さん、どうぞ大船おおぶねにのった気で安心なさい」
人造人間エフ氏 (新字新仮名) / 海野十三(著)
文「まア/\待て、決して短気な事をしては成らんぞ、今にも大船おおぶねが通らぬとも限らぬ、又異国の船でも此の難儀を見れば助けてくれるは人情だ」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「ううむ、そうか、銚子にな……そこで大船おおぶねを造っているのだな? ……なんのために造っているのだろう?」「莫大もない財産を、持ち運ぶためでございますよ」
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
こうなればもう我々の家業は、うず潮に吸われた大船おおぶねも同様、まっさかさまに奈落ならくの底へ、落ちこむばかりなのでございます。するとある夜、——今でもこのの事は忘れません。
報恩記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
あの靄の輪廓りんかくに取り巻かれているあたりには、大船おおぶねに乗って風波ふうはを破ってく大胆な海国かいこくの民の住んでいる町々があるのだ。その船人ふなびとはまだ船のき分けた事のない、沈黙のうしおの上を船で渡るのだ。
「大丈夫だよ。おれがひきうけたからは、大船おおぶねに乗った気でいるがいい」
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「どこかで大船おおぶねを造っているのさ」
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)