大童おほわらは)” の例文
それをまた、私が、時によるとそばから、そんな簡単な、女ならちよこちよこつと眼をつぶつてゐても出来るやうなことを、さう大童おほわらはになつてなどと口を出す。
妻の日記 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
大童おほわらはとなつて必死にたゝかふ間に、頼朝めは杉山まで逃げ込んだ。高綱も幸ひに命をまつたうした。つゞいては宇治川先陣の功名、それだけでも二ヶ國三ヶ國のあたひはあらう。
佐々木高綱 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
此時天意かいざ知らず、二月の南風であつたから風は変じて、急に北へとまはつた。今度は下野軍が風の利を得た。死生勝負此の一転瞬の間ぞ、と秀郷貞盛は大童おほわらはになつて闘つた。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
ある時ふと其感情をそこねてからと言ふものは、重右衛門大童おほわらはになつて怒つて、「何だ、この重右衛門一人、村で養つて行けぬとふのか。そんなけちくさい村だら、片端から焼払つて了へ」
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
又その前面むかひには一人の女に内を守らしめて、屈強の男四人左右に遠征軍を組織し、左翼を狼藉組ろうぜきぐみと称し、右翼を蹂躙隊じゆうりんたいと称するも、実は金剛石の鼻柱をくじかんと大童おほわらはになれるにほかならざるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
高々たか/″\いだいて、大童おほわらは
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
大童おほわらはなるぬかにして
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
壇の浦の知盛とももり教經のりつねのやうな心持で大童おほわらはになつて戰つた。
近松半二の死 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)