大嘘おおうそ)” の例文
歴史には死人だけしか現われてこない、だから退ッ引きならぬギリギリの人間の相を示し、不動の美しさをあらわす、などとは大嘘おおうそだ。
冗談じょうだんじゃない。そんななまやさしいもんじゃありゃァしない。おなべ火鉢ひばちへかけて、雪駄せったかわてるんだよ。いまもうちで、絵師えしなんてみは、大嘘おおうそだってはなしを。……
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
けれども、それにもかかわらず、物音を聞いてここへかけ登って来た瞬間から、老人の気持はガラッと変って、生涯に一度の大嘘おおうそをついて化け物を捏造ねつぞうし、娘の罪を隠し始めたのだった
灯台鬼 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
にこにこ笑ってこの男の話に相槌あいづちを打っていたが、心の中で思うよう、さてさて馬鹿ばかな男だ、よくもまあそんな大嘘おおうそがつけたものだ、お客の口先を真に受けて私たちの商売が出来るものか。
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
大嘘おおうそ! 実は平生いつもの通り五杯喰べたので。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)